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INTERVIEW

インタビュー

渡邉 由之先生

こども学科

学生一人ひとりが、人間理解をベースとした「子どもの探究者・社会の探究者」となることを目指しています。

学問の概要と学ぶことで身につく能力・観点を教えてください

子ども一人ひとりには違いがあり、固有の存在であります。それを重要視する「こども学」では、「いのちを見つめるやさしさ」をキーワードに、学生たちは子どもたちの人生に深く関わる存在として、知識だけではなく生き方や考え方まで幅広く学びます。学生が教師や保育士になったときに、一人ひとりの子どもを取り巻く多様な背景(家庭環境や社会情勢など)を深く理解しながら、保護者・他機関と協働しつつ、「子ども理解に基づく実践」を生み出すことが本学の学問的特徴です。そこから学びとることができるのは、他の誰でもない自分の眼を通して子どもを見つめようとする姿勢であり、技術です。そのような子ども理解の姿勢・技術は、座学・実習・学外研修・(こども研究センターなどでの)ボランティア活動・興味や関心に基づく個人としての生き方などが一体となって生まれるものです。正解のない保育者・教育者・社会人としての学び方や生き方を歩み始めるにあたり、学生一人ひとりが個別の見方や意思を持って、人間理解をベースとした「子どもの探究者・社会の探究者」となれるように支援しています。学生が教育の現場に出たときに「どういうやり方ならこの子はもっと伸びるのかな?」とつねに自問自答し、自ら学びを深めてくこと、これが本学の学問的探究を通じて身につけることができる能力です。

深い学生理解に基づいた学習支援・キャリア支援と、大規模保育施設である「こども研究センター」の独自性。

先生の研究分野や仕事の上で関わられている領域から、東大阪大学の強みは何だと思われますか?また、他の大学にはない違いや独自性は何だと思われますか?

私の専門は、生きる主体としての子どもの「個別具体性(その人らしさ)」を重視する「臨床教育学」が専門です。集団としての指導が主な役割だった従来の教育学から発展し、「学生(子ども)一人ひとりがどんな思いを感じているのか」という細かな点まで目を向けて考えていくという、現代の教育学です。その立場から、東大阪大学は一人ひとりの学生の成長要求や学習要求を、教員全員がチームとして受けとめられることが強みです。少人数担任制はもちろん、「全ての教員が全ての学生の担任」としての意識を持ち、教員が学生の顔・名前・性格・就職希望を把握しており、学習指導や就職相談、ときには人生相談も行っています。この積み重ねが深い学生理解を生み、一人ひとりの個性に合った支援を可能としています。また、これからの保育者・教育者を目指す学生は、子どもへの理解だけではなく保護者理解にも長けている必要があります。本学には、関西エリアでも珍しい「こども研究センター」という大規模な保育施設があり、「子ども支援・保護者支援の専門家を育成するには、学びの環境を整える必要がある」という強い現場意識から、約20年前に誕生します。大きな宣伝をしていないにも関わらず、毎月100~200組の子どもとその保護者がいらっしゃいます。本学の学生たちは、社会に出る前にこの施設で幼い子どもと保護者に関わることができ、その経験が保護者と打ち解けられる保育者・教育者への近道を用意してくれます。学内に大規模な保育施設を有し、そこでの活動を通して保育経験を積むことができるのは、本学の独自性となっています。さらに、実習を始め、学外で学ぶ場も用意していますので、学内・学外で学びを深められることも特徴となっています。

自らの知的好奇心を探求し、主体的な行動ができる学生が多くいます。

授業ではどのような学生がいますか?

保育・教育ボランティアや子ども食堂のスタッフを経験したり、学外で道徳教育などの講演会に参加したりと社会経験を積み上げている学生がいます。その学生は卒業後に幼稚園の教員になりますが、その社会経験から、見識が広く、主体性ある社会人になってくれるものと期待しています。他には、折り紙や料理などの創作活動が得意な学生、ピアノやギター、管弦楽器を演奏する学生教育・福祉に関する地方公務員を目指す学生、おすすめの小説や本を借りに来る学生など、自らの知的好奇心を探求し、主体的な行動ができる学生が多くいます。私は、ゼミの学生と何でも話しますし、授業の一環として学外研修にも連れ出すこともあります。学生一人ひとりの「殻を破る仕掛け」として、小学校へボランティアに行く課外授業や、希望者を募って大自然が残る千早赤阪村(大阪)へと出かけていき、整備されていない山を一緒に歩いたり、木を切って薪にしてたき火をしたり、そこで自炊をしたり、火を囲んで話したりするなど、「自分たちですべてをやってみる」という体験型の里山学習を行っています。こういった様々な体験を通して、心を開放する術(すべ)を学び、感性を磨き、知的好奇心を引き出し、社会において主体性を発揮できる実践者となってもらいたいと願っています。

自分が本当に知りたい、聞きたいことを質問する、その中に学生の個性や成長要求を感じます。

学生の成長を実感するのはどんな時ですか?また、エピソードがあれば教えてください。

一つ目は、レポートの内容に問題意識が現れたとき、質問ができるようになったときです。とくに実習後の授業では「こういう子どもに会ったのですが、先生ならどうしますか?」といった質問が学生から出るようになり、「お、目覚めたな!」と成長を実感します。私たち教員はその気付きをほめながらも、その中に存在する課題を学生たちと一緒に考え、探求を行うことで学びを深めていきます。また、私の担当科目では質問しあう場を作っていますが、問題意識に基づく質問は場の雰囲気を変えます。実際に4年生には自分たちで授業内容を考えさせることもしますが、彼らが主体的に授業運営をし始めると、目に輝きが生まれ、笑顔が多くなり、総じて楽しい学びの場が生まれることが多いです。今はコロナ禍で活気ある意見交流ができませんが、自分が本当に知りたい、聞きたいことを質問する、その中に学生の個性や成長要求を感じとることがあります。この感じとる、ということを私は一番意識しています。それは「私自身の感性が、学生が感じている『問いの魅力』までたどり着けるのか?」という問題があり、同じように面白いと感じることができないと答えられないものがあるからです。そのため、一人ひとりに対する学生理解を深め、その成長要求に応えられるように努めています。もう一つは、教員の研究室を尋ねるようになるときです。大学生の主体性の形成は、私自身の課題ですが、遠慮なく教員を活用し始めると、成長したなと感じます。私たち教員は「伝えること」「一緒に気付きを得ること」が仕事ですので、教えてほしいと来てくれるのは非常に嬉しく思います。

指導する側にとっても学びになる学生との関わりがあります。

今回インタビューさせていただく学生とのエピソードを教えてください。

高崎さんに関しては、必修科目を担当しており、自分の意見を表現する能力に長けている印象があります。私の指導は意見を掘り下げることが多く、「もうやめてください!(笑)」と言われたこともあります(笑)。周囲に対して心配りができて、和やかな雰囲気を作り出すことができる学生なので、多くを質問したくなるほど彼女の意見が興味深かったことを覚えています。また、実習訪問担当として保育所に行ったことがありましたが、子どもとの関わりが上手で、会話している様子が微笑ましく、安心して見ることができました。また、増田君とは、まだ1年間の付き合いですが、とにかくまなざしがいい。講義の中から何かを学び取ろうとする意識が、そのまなざしから感じとれます。大げさかもしれませんが、講義中、彼の視線を感じると身が引き締まります。そのような受講態度もあり、私が伝えている文章表現技術も入学時に比べて大きく躍進しています。授業が終わり、下校するときにはそのまなざしが変わっていて、「オンとオフの切り替え方を分かっている学生だな」と関心します。彼の姿を見ていると、私たち教員も「オンの時に、授業でどこまで真剣に伝えられるかを追求しなければならない」と考えさせられます。

学生理解の上で指導を行うからこそ、学生一人ひとりの個性に合った学習支援と就職支援ができます。

保護者の方に伝えたい、東大阪大学の魅力は何でしょうか?

他校に比べて定員の少ない大学ですので、その分、目をかけ手をかけて教育支援を行うことができます。また、一人ひとりの教員が深く学生を理解していますので、学習内容の問いや迷いにもすぐに応えることができます。私たち教員は、学生に厳しいことを言うこともありますが、「どこまで言えばいいのかな」と、つねに考えながら接しています。「学生理解」とは難しいことですが、教員は授業内の出来事などをきっかけに声掛けを行い、学生一人ひとりと会話を重ねることで理解を深められるように努めています。「指導」と「理解」はどちらか一方では成り立たないと考え、学生理解の上で指導を行うからこそ、学生一人ひとりの個性に合った学習支援と就職支援ができるのではないかと思います。そのため本学では、納得のいく職業選択に向けて、学習状況と就職意識を結びつけたキャリア支援を行っています。保育者・教育者になることは容易なことではありませんが、学生の個性を見出し、ともに考え合いながら生き方を模索し、その延長線上に「他者を支えられる保育者・教育者」となって社会で活躍できるように支援しています。同時に、学生の本心を見つめ、彼ら彼女らが生涯にわたって知的好奇心を持ち、主体的に働き続けられる人材の育成にも注力しています。

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