山下 絵美先生
実践食物学科
栄養士コース
実践食物学科には「栄養士コース」と「製菓衛生師コース」の2コースがあり、両コースの特徴を共有することができます。栄養士コースでは2年間の学びで、在学中に単位を積み重ねていくと、卒業と同時に栄養士の資格を取得することができます。さらに、本格的な大量調理設備が整った実習室では、120食もの食事をつくる実習を行うことができるので、社会が求める実践的な栄養士のスキルを身につけることができます。一方、製菓衛生師コースは在学中に単位を積み重ねるだけでは資格を得られませんが、在学中に国家試験に合格すれば製菓衛生師資格を取得した状態で卒業することができます。共有という部分では、栄養士コースの学生の場合、製菓実習を選択すれば製菓衛生師の先生からプロの製菓技術を学ぶことができます。また、製菓衛生師コースの学生の場合、必修科目である栄養学や食品学の授業を管理栄養士の先生から学ぶことができ、栄養価計算や食品表示の知識を持った製菓衛生師を目指せるという、両分野の良いところを主体的に取り入れられる体制を整えています。栄養学や食品衛生についての正しい知識の習得はもちろん、クラスメイトや教職員との密接な関わりや学外実習での多くの方々との触れ合いを通して豊かな人間性を磨くことができます。 学科名にも「実践」とあるように、実践食物学科では学問(学び)と実践のバランスを重視しています。学生にとっては、学んだことを実践できる実習の時間が一番楽しいのではないでしょうか。
長年に渡って教育現場で勤務していた先生の下で、人間味のある教育者を目指すことができます。また、企業で商品開発に携わっていた先生や地域の特産物を研究している先生から、創造性あふれる学びを得ることができます。国立病院に36年間勤務して実際に災害支援を体験した先生から、災害時の栄養管理に関する知識や技能を身につけることもできます。保健所に勤務していた先生の下では、法律に基づく衛生管理について学べます。アスリートに栄養教育を行っている先生の下では、スポーツ栄養について学べます。以上のように、本学には様々な分野で経験豊富な先生方から学ぶことができるという強みがあります。また、産学連携の分野では、「食のプロ」という点で共通していますが、栄養士コースの学生は「健康面」に着目し、製菓衛生師コースの学生は「嗜好面」に着目して地域の特産物を活用した商品開発を行っており、両コースが連携してイベント運営を行っています。多くの資格取得を望む学生にとって、本学のカリキュラムや施設(学習環境)は、その期待に応えられるものになっていると考えています。とくに、栄養教諭免許、中学校(家庭)教諭免許の取得が2年間の学びで目指せることは、卒業後の進路選択に大きなプラスであると言えます。
教諭免許取得を目指して遠方(近畿圏外)から入学してきた学生や、当初から管理栄養士国家試験取得を目指す学習意欲の高い学生、商品開発の仕事に就くことを目指して産学連携イベントに積極的に参加する学生、修得した栄養学を陸上競技のパフォーマンス向上に生かそうとする学生など、様々な夢や目標を持つ学生が在籍しています。とくに、陸上競技に取り組んでいる学生には栄養士の卵として栄養学の知識をチームメイトにも広げていってほしいと思っています。加えて、WFPチャリティエッセイコンテストやお弁当コンクールにチャレンジし、食育活動に熱心な学生もいます。WFPチャリティエッセイコンテストでは、2019年度は2年生が「18歳以上部門賞」を、1年生が「審査員特別賞」を受賞しました。自分自身の食経験にまつわるエッセイ(毎年テーマは異なる)を書いて送ることで、開発途上国の子どもたちの3日分の給食になるという、社会的意義の大きいチャリティコンテストです。また、お弁当コンクールは調理技術や献立作成力といった学習成果をフル活用して腕試しをする機会ですが、近畿農政局主催の「学生おべんとうコンクール2020」で、近畿の食材を活用したお弁当を考案して「おいしそうで賞」を受賞した学生もいます。
入学当初、リンゴの皮も剥けない学生がいました。卒業や就職も難しいと思われていたのですが、自主的に調理実習の補習を申し出て、2年間毎週調理をがんばった結果、無事に卒業できました。現在では、就職先の責任者から「(職場で)とてもがんばっています」とほめていただけるまでに成長しました。その学生は不器用ではありましたが、それ以上に努力家だったことが大きな成長につながったのだと思います。また、それほど成績が上位ではなかった卒業生が1~2年後に来学してくれたときに、見違えるほど「人間的に成長したな」と感じたこともありました。そして、人前で話すことが苦手だったにもかかわらず、教育実習では児童・生徒に対して積極的にコミュニケーションを取っていたときや、児童・生徒と多くの現職教諭の前で、何度も修正を重ねた指導案に沿って、一生懸命に研究授業を行って良い評価をいただいたこともありました。少しでも満足のいく授業をしたいという情熱が、学生を責任感のある大人に変えたのだと思います。学生たちの原動力は、学んだことを実践しようとする「実践力」だと思いますので、積極的に現場に出て、学びを深めてほしいと思っています。
本学科のキャッチフレーズの一つである「教育コスパ三ツ星」は、ある学生との対話から生まれました。その学生は、全国の短大で教員免許が取れる学校を探しまわり、「近畿で東大阪大学短期大学部が一番コストパフォーマンスが良かったので入学しました」と教えてくれました。確かに、2年間で120単位以上取得できる短大はなかなかありませんし、栄養士だけではなく社会福祉主事、フードサイエンティスト、中学校(家庭)教諭、栄養教諭、さらにはテーブルコーディネート初級といった資格も取ることができます。そのため、がんばり次第ではフルに資格を取得できます。もちろん、その学生はすべて取得しました。それだけの勉強をしていたら、1年生の後期のスケジュール帳は授業で真っ黒になります。その路線を受け継いでいるのが柴村さんです。栄養教諭必修の「学校食育論」の模擬授業では、児童の興味を引く媒体を作成し、食べることの大切さをわかりやすく教えようとする、将来の先生の姿が見られました。また、屋島さんは、私が面接をしたときから好印象で、勉強の方もがんばり屋さんです。管理栄養士の課題に対しても挑戦意欲を強く感じ取ることができます。就職活動のグループ面接の授業では、突然の指名にもかかわらず、自分の意見をしっかりと発言していた姿が印象的でした。最後にはグループの意見をまとめて発表し、多くの学生のお手本となってくれました。2人とも明るくて努力家であり、積極性もある、自慢の学生たちです。
栄養士コースでは、献立作成や栄養計算など、事務仕事も行う栄養士には欠かせないパソコン技能の習得にも力を入れており、在学中にワード、エクセル、パワーポイントなどの使い方や活用方法を基礎から学ぶことができます。授業内容も実践的な内容で、ただ単にパソコンスキルを習得するのではなく、現場の栄養士に求められるパソコンスキルを身につけることができます。さらに、栄養士免許証はもちろん、中学校(家庭)教諭2種免許状、栄養教諭2種免許状、フードサイエンティスト(食品科学技術認定証書)、社会福祉主事任用資格、テーブルコーディネート初級という、6つの資格取得を目指せる、幅広い指導を行っています。また、製菓衛生師コースでは、国家試験対策を行い、卒業までに製菓衛生師免許証を取得できるカリキュラム(在学中に国家試験に合格した場合)となっています。学科に迎えたすべての学生がその目標を達成できるように、教員全員でサポートしています。そのために、月1回以上学科会議を開催して、学生一人ひとりの状況について授業担当教員やアドバイザーからの情報を共有し、共通理解に努めています。さらに、保護者との情報共有も大切にしており、成績は学内の情報端末にアクセスして見ることができますし、年1回の懇談会以外でも、適時アドバイザーに連絡ができるようにしています。東大阪大学短期大学部では、学科教員一丸となって支援体制づくりに取り組んでいます。